2013年8月アーカイブ

キャッシングの衰退

キャッシングは消費者金融にとって専業であり、クレジットカードや信販に比べると
残高が最も多い分野となっていますが、キャッシングは無担保ですから
際限無く融資することは出来ません。
返済不能のリスクを考える必要もあることからショッピングなどの金利よりも
高い金利設定をしています。

その分、キャッシングは収益性に優れておりしっかりと返済してくれる人を優遇し
長期に渡って貸付を行うことで低リスク、高収益となるのです。
しかし、2010年の貸金業法の改正によって総量規制が適用されていることと、
過払い金返還に対する準備金などの確保が必要となっていることから
キャッシングはショッピングに比べると従来よりも衰退しつつあるといえます。
 
 
利用率アップで収益確保
クレジットカードは年会費無料のカードが増加しています。
年会費無料ということで加入する会員は増えるかもしれませんが、
カード会員が増えてもカードを利用してもらわなければ利益には結びつきません。

クレジットカードの利用率で1年に1回以上利用する率が
50%~60程度あれば優良な部類に入るほどの競争率なのです。

利用してもらうためには優良な加盟店を増やし、
そこで商品を購入してもらうことにあります。
そのためには加盟店そのものの魅力を高める必要があるのです。

昔であればDMなどを大量に送付しそこから利用してもらうような
販売促進が行われていましたが、最近ではネットショップの利用を進めるために
ポイントを活用したり顧客のデータに基づいたデータマイニングを構築する方向に
動きつつあります。

クレジットカード発行業務と加盟店獲得業務

クレジットカードは基本的に薄利多売です。
少しの収入を大規模に回収することで大きな利益を上げるというのが基本的なビジネスモデルです。

クレジットカード会社にとってはカード発行業務が第一の重要業務となります。
会員獲得を目的としてカードを発行するのがその主な業務です。
そして獲得した会員にはカードを利用してもらわなければなりません。
そこで有名店など利用者に人気のお店を加盟店化するのが次の業務であり、
加盟店獲得業務といわれています。

この二つの業務は薄利多売なクレジットカード会社にとっては
車の両輪ともいえるほど重要な業務なのです。
この二大業務の均衡を保ちつつ利益を上げていくことが
クレジットカード会社の生き残りに大きく影響するといわれています。
 
 
ますますひろがる業態の多様化
クレジットカード業界に参入している業種は18種類以上になりますが、
その全ての業種でクレジットカードを発行しているわけではありません。
信用保証会社はローン返済を利用者に変わって保証し
ローンというサービスを提供した会社から保証料金を徴収するというビジネスを取っています。

また、大型量販店や自動車販売のディーラーなどはカードで与信しているわけではありませんが
広義の意味でクレジット産業に参入していることになるのです。
クレジット業界のメインはやはりクレジットカードを発行する会社ですが、
キャッシング事業が全体的に衰退している中で稼働率の良いカード発行を
目標としていくなど生き残りに必死にならざるを得ません。
カードを発行して利用してもらうだけでは利益を上げられない業界となった以上
その業態はますます多様化していくでしょう。

クレジットカード産業の業態

クレジットカードの業界には様々な業態の業者が存在しています。
日本クレジット協会が統計分類したところによると
銀行系クレジットカード会社、民間金融機関、消費者金融会社、百貨店などの小売会社など
18業種に渡っていることがわかりました。

これだけの業種がクレジットカード業界に参入している背景には
経済産業省が後押しし国民の消費意欲を高め国内の需要を押し上げようとする
目論見があったからなのです。

支払が後回しになるということで消費が先行し、また分割払いも可能ということで
商品の購入を後押しするのではないかということがありました。
また、銀行という形よりも形式上も法律上も緩やかなクレジットカード会社の
設立を目指すほうが自由な業務展開が可能であることも後押ししたのです。
 
 
カードを発行する、持つ、使うことの責任
私たちはクレジットカードだけではなく、様々なカードを発行し
持ち、使っているのが現状です。
それらはポイントカードだったり病院の診察カードであったりするわけです。
カードを持って使うということは生活が非常に便利になり
無駄を省くことが出来るようになります。

しかし、この縦5.5センチ、横8.5センチのカードには様々な個人情報が詰っています。
盗難、偽造などのトラブルに遭遇すると大変なことになってしまいます。
それがクレジットカードであれば不正使用などに繋がることも考えられます。

複数のカードを発行し、持ち、使うということはそれだけ
様々なリスクに晒されているということなのです。
利便性というメリットを受けつつデメリットも背負うことになるということです。

クレジットカードの個人情報漏洩問題

クレジットカードは個人情報の塊といってもよいぐらい
慎重に扱わなければならないものとなっています。
しかし、近年では国内外でカード会社からの情報漏えいが問題となっており
クレジットカード会社の情報管理が問題視されています。

2009年7月にはアリコジャパンから最大で13万件ものクレジットカード情報が
漏洩するという事故が発生しました。
情報漏洩の原因はデータ処理会社といわれる外部委託会社の問題であり
システム化が複雑になっていることによる個人情報の流布が根本にあるようです。

クレジットカードの場合、情報漏洩は不正使用などに繋がることもあることから、
一度情報漏洩してしまったカード会社は致命的なダメージを受けることになるのです。
 
 
ネットワーク犯罪のリスク
クレジットカードが高度にシステム管理されるようになってきてから、
それらのシステムを開発運営するためにアウトソーシングするわけですが、
そのようなアウトソーシングが増えれば増えるほど情報漏洩のリスクは高まることになります。

逆にネットワークを使った情報の流れがあるということは、
そのネットワーク上の情報に浸入する犯罪も起こりえるということです。
これらのネットワーク犯罪はクレジットカード会社には避けることの出来ない問題となっています。

他にはフィッシング詐欺といわれるWeb上の情報収集サイトが問題になっています。
カード会社は外部のモニタリング会社などを通じて監視を行うなどで
対策を行ってはいるものの、いたちごっこに近い状態になりつつあります。

低価格ゴールドカードが登場

クレジットカード会社はキャッシングによる収益が今までのように見込めないこと、
そして無料カードの氾濫により稼働率の低いカードを廃止する方向に動いており、
原点回帰ともいえる自社カードの普及による年会費で利益を上げる動きが出ています。

その一環として、低価格のゴールドカードです。
従来であれば年会費は最低でも1万円以上したゴールドカードですが、
2008年に2000円という破格の値段でゴールドカードが登場したのです。
無料のカードはいくら発行しても収入にはなりませんから、
使えるカードとするために低価格のゴールドカードを考え出したのです。
無料カードの量よりもゴールドカードの質を意識したカード会社の戦略と考えられるでしょう。
 
 
ゴールドカードによる各社の競争
クレジットカード各社はゴールドカードを低価格化することによって
新規利用者の獲得を目指してしのぎを削っていますが、
利用者の拡大は容易ではないようです。
先陣を切ったニコスですが、2000円のゴールドカードであるMUFGカードは
利用者数が伸び悩んでいるのが現実です。

その原因はゴールドカードの必要性にあるといってもよいでしょう。
つまりゴールドカードになることによって空港のVIPルームが使えるようになったり
高額な海外渡航保険などが付くなどの付加価値を得ることが出来ますが、
それらを年会費が安くなったからという理由で利用しようとする人が
少ないことが原因だと思われます。
それは必要性を感じていないからなのでしょう。
ですから、今まで無くても何とかなっていた付加価値だけで
利用者を獲得できるかどうかは未知数となっているのです。

現金化を貸金業登録違反で摘発する

クレジットカードの現金化業者は景品表示法といわれている法律を悪用して
キャッシュバックは販売額の10%以上が認められているという部分を根拠に
違法性を否定しているのです。

しかし、金融庁と経済産業省、警察庁は価値の無い商品(ビー玉など)を
販売する業者ということで貸金業としての適用が出来ていませんでしたが
アメックスの現金化することでカード会社から一括で請求されるなどが発生することから
実質的に貸金業に該当するという判断をしました。
今後は貸金業者と見なすことで無登録業者として取締りを強化する方向のようです。

法の抜け穴をついたショッピング枠のアメックス現金化でしたが、
近い将来には根絶されることになるでしょう。
ただ、このような業態はいたちごっことなることが予想されますので
新たな手口が出回ることも注意しなければなりません。
 
 
ETCカードは付加価値が必要
ETCカードにはクレジット機能が付いているため、このETCカードを使った
クレジットカード会社の会員獲得が進むことになりました。
ETCカードは車を買い替えればETCの再セットアップは必要となりますが
ETCカードはそのままで利用できるため、会員の長期維持に役立つツールなのです。

しかし、セットアップ率は85%を超えてきており、そろそろ頭打ちになると考えられています。
そうなってくるとETCカードの新規発行による会員獲得のメリットは
段々と薄れてきているといえます。
そこで付加価値などをつけて少しでも残りのパイを奪おうとする動きが
始まるのではないかと言われています。

しかし簡単に付加価値といっても割引サービスなどは既に限界に近いため
こちらもキラーコンテンツといったものに欠ける印象は否めません。

常に新規獲得が必要

クレジットカード会社は常に新規顧客の獲得が必要な業種と言われています。
ほとんどのクレジットカードは初年度の年会費が無料となっており、
2年目以降は年会費が掛かるというのが一般的です。
しかし、年会費無料だからといって何枚ものクレジットカードを持っていても
あまり意味はありませんので2年目からの有料年会費になる前に
利用者は会員を辞めてしまうことが多くなっているのです。

ある統計では新規会員獲得率が20%でそのうち退会率は15%という調べがあり
たったの5%が残った会員という状況でもあるわけです。
このような状況の中で各クレジットカード会社は年会費の徴収率を当てにするのではなく
常に規模を維持するために新規顧客の獲得に専念しなければならないのです。
 
 
クレジットカード会社が近年取り組みだしたのが
ポイントサービス、ポイント還元です。
購入した商品価格に応じたポイントを付与し
そのポイントを貯めることによって様々なサービスと
交換することができるというもので航空会社のマイレージで最初に
導入されたものがクレジットカードでも広がってきています。

電気や、ガス、電話などの公共料金などをクレジットカード払いにすることで
毎月かならず決済される金額として使われるようになることは
カード会社にとっては使われるカードにするための第一歩ともいえます。
そのためにもポイントサービスなどで顧客を獲得するような動きになってきているのです。
一度クレジットカード払いにしてしまったものは、中々変更することは無いからです。

クレジットカードはシステム化が重要

利用者はクレジットカードを作成するときに年会費無料というカードを選ぶ傾向にあります。
また、年会費無料を謳うカードが増加していることも事実です。
そんな中でクレジットカードというのは使われなければ意味がないただのカードと
なりつつあるのです。

そのため、クレジットカード会社は利用者の情報をデータベース化して
それらをシステム的に営業などに利用しようとする動きがあります。
たとえば、パソコンを購入したあとにパソコン関連商品のダイレクトメールが
届けられるといったような手法です。
これはクロスセルといわれる販売手法で、システム化されたデータベースが
なければ実現できないことなのです。
ですからシステム化というのは非常に重要な要素となっているのです。
 
 
クレジットカード会社が独自にシステムを開発するというのは
費用も掛かりますし非効率的なシステムになってしまいがちです。
クレジットカードの業務というのは決算代行や貸付が主業務ですから、
より多くの会員に利用してもらい利益を上げていく薄利多売の業種なのです。

銀行再編などが一気に進んだ2000年台にはクレジットカード会社も
統合再編などが進みシステムの共同開発なども積極的に行われました。
その代表がJCBの次世代基幹システムの開発でした。
当初はJCBとニコスのシステム共同化を目指して開発されていましたが、
開発費用が予算を大幅に超過したとも言われており、
尚且つニコス側の更なる合併や信販事業のジャックスへの譲渡などがあり
システム共同化は凍結されることになったのです。
システム化は重要ですが、計画通りに進むかどうかは別問題のようです

過払い金に付随する還付金問題

ノンバンク各社が過払い金返還に応じているという状況は
2006年の最高裁判断以降増加傾向にあります。
しかし、元を正せば過払い金を返還しなければそれはそのまま
ノンバンクの収益となっていたわけですから、
そこから収められた税金というのは元の原資が過払い金ということになるのです。

収益をあげることによって収めた税金ですが、この原資が過払い金で
それらを返還しているということは収めた税金そのものも還付されなければならない
というような考え方が出来るわけです。

もし経営破たんした武富士が収めた税金の還付金訴訟を起こすような事態になれば、
その他のノンバンク各社もそれに続くことになるでしょう。
国税局がこの問題にたいしてどのような見解を示すのか、
裁判になった際の判決がどうなるのかによっては大きな問題となる可能性があります

武富士破綻の影響

武富士は2010年に東京地裁に対して会社更生法を申請し
受理されました。
最終的に武富士が抱える過払い金請求者は1000万件に到達すると
考えられており満額が返還される見込みは立たなくなっています。
武富士が破綻したことの影響というのはノンバンク業界にとっては非常に大きなものです。
ですから、武富士の抱える過払い金請求が最終的にどれぐらいの件数で
金額がどの程度になるのかというのは最も関心の高い点なのです。


武富士の問題がクリアになれば、自社の抱える過払い金請求というものの
全体像もおおよそで把握することができるため、過払い金に対する
準備金もその額を予測することが出来るのです。


逆に武富士の問題が不透明なままとなれば、業界全体の今後の推移が
シミュレーションできなくなってしまうという問題を含んでいるのです。


ビジネスモデルの再構築
ノンバンク系が元々持っていたビジネスモデルというものは
個人向けのキャッシングが主体となっていました。
それは消費者金融だけではなく信販やクレジットカード会社も同じだったのです。


しかし、2006年のグレーゾーン金利の否定から始まった過払い金返還が
急増してたことからそれに対応するための準備金などを計上しなければならず、
財務的な大打撃を受けたことは間違いありません。


しかも、それは過去に遡って返還請求できるという事例もあるため
今現在も続いている問題となっているのです。
このような状態ではキャッシングによる収益確保というのは
非常に厳しいものとなってきておりビジネスモデルの再構築は
もはや避けられないところに差し掛かっているといえます。

銀行の対象が法人から個人へ

バブル崩壊後、金融業界は極度の業績不振に陥りました。
企業への巨額の貸付が不良債権化するなどして
銀行への公的資金の注入などの問題に発展していきました。
逆に企業側は銀行から借入した資金を返済することができず、
倒産に追い込まれたり大量のリストラが行われてきました。


2006年には3大メガバンクが不良債権によって注入された公的資金を
全額完済することができました。
その後、銀行は企業への資金供給という本来の営業体制を維持しつつも
個人向けの資金供給という点に力を入れ始めたのです。


このようにデフレ時代に突入した日本では企業への貸付には
限界が見えてきていたこととバブル後の不良債権というものを
繰り返すわけには行かないとう意識が働いているものと考えられます。


法改正により銀行が支援する形に
法改正などにより大手銀行が共同で出資するという形態を持ったノンバンクがいくつか誕生しました。
例えば、プロミスとUFJが共同出資したモビットなどです。
2000年半ばまでにはノンバンク大手の大半が眼がバンクグループの傘下に入ることになりました。
このような方法によって銀行は法人主体から個人を巻き込んだ形での
収益確保に舵を切ったことになるのです。


しかし、過払い金返還などの問題が表面化してきたことによる
キャッシングの収益大幅悪化などからノンバンクそのものの経営難が
メガバンク本体側へも悪影響を与えるほどになってきていることから、
関係見直しなども今後は焦点となる可能性があります。
また、ノンバンクのビジネスモデルの見直しや再構築も必要になってくるでしょう。

2006年ノンバングに大ショック

三大ノンバンクといわれている信販、クレジットカード、消費者金融にとって
2006年は経営環境が一変するほどの大きなショックがありました。
それは2006年1月に最高裁判所が出資法と利息制限法で異なっている
上限金利の差「グレーゾーン金利」について違法であるという判決をだしました。

そのため、当時の出資法の上限である29.2%を利息制限法の上限である
15%~20%で再計算することを求め、その差額を利用者側に返還するように
勧告したのです。

これによって利用者からの申し出があれば再計算を行い、
過払い金を返還するという事態が急増していきました。
一番の打撃を受けたのは消費者金融会社であり
大手を含むノンバンク各社は経営悪化するほどに財務基盤が
低下してしまったのです。
 
過払い金請求と法律改正
過払い金請求はノンバンク業界にとっては大打撃となりましたが、
それだけではなく貸金業法や割販法なども法改正が進んでいったのです。
まず貸金業法については過剰な取立てを禁止し、業務改善命令を導入し
さらに利用者一人当たりの総融資限度額を年収の1/3に抑えることが
確定したことでキャッシングという分野の収益性が著しく低下したのです。

加えて、信販、クレジットカード業界では割販法の改正などが行われ、
加盟店が引き起こしたトラブルに関しては共同責任を負うことになるなど
加盟店の管理強化についてもコストを割かなければならないという
状態になってしまったのです。

これらは明らかに利用者側の債務超過などによる自己破産や、
ヤミ金融などの暗躍を食い止めようとする動きが引き起こしたことと
考えられています。